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成績がオールAの学生は優れた研究者になれない

(元の記事「個性尊重vs集団重視 各国の教育の違い」についてはこちらへ。)

マサチューセッツ工科大学の教授の統計によれば、オールAがとれるような秀才は優れた科学者になれない。また、飛び級制度も成功例はほとんどない。

脳科学者いわく、オールAは凡庸さを表す代名詞

サイエンスライターの吉成真由美氏(ノーベル生理学・医学賞の受賞者である利根川進氏の妻)の著書「危険な脳はこうして作られる」の中で、マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授は、オールAがとれるような秀才は優れた科学者になれないことを指摘している。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の若い教授が嘆息まじりに言った。

「どうしてオールAの学生は、後で伸び悩むのかネ。」

この教授は気鋭の脳科学者で、とにかく彼の所で研究をしたいという優秀な若手研究者が、毎年何人も応募してくる。当然ながら彼は、各応募者の履歴書を吟味し、面接も十全に行なって、最も印象の優れた人材を選択する。例えば、

「大学はスタンフォード、大学院はイエールで、いずれも苦もなくオールA。脳科学分野の知識も深く、最近の目ぼしい論文についても知悉している。面接も誠にスマートで、これ以上の逸材はめったにいるものじゃない。」

(中略)

ところがそういう人物に限って、ポストドククーとして、その先伸び悩んでしまうという。

「以前は、自分の指導が悪いんじゃないかと思っていたけれど、どうもそうではないらしい。すんなりとオールAがとれるような秀才というのは、優れた科学者になるには何かが欠けているんじゃないか。」

また、著書では別の脳科学者の意見も紹介している。

「僕は絶対にオールAの学生は採らないことにしている。優れた科学者になるような人は、どこか奇妙な特質というものを持っている。オールAなんていうのは、凡庸さを表す代名詞のようなものだ。

つまり、全科目の成績が優秀な学生は、研究者として成功できないようだ。

吉成氏も、オールAがとれる学生は気配りが良くできるかわりに、他を切り捨てて一つの事に深くこだわる能力が欠如していることを指摘している。

飛び級も成功例はほとんどなし

(学年を飛び越して上の学年または上の学校に移る)飛び級や飛び入学により、韓国では小学生の年齢で大学へ入学している者もいる。また、同様の制度はインドやアメリカ、そして日本でも一部存在する。

本来はアカデミックな分野で優秀な人材を育成するために飛び級や飛び入学を認めているが、飛び級した者の中に、成功例はほとんどない。

飛び級で成功例があるのはスポーツの業界くらいだ。